- 建築では主に骨組みや階段などに使用しています。鉄は酸化しやすいという性質があるため、防錆処理が欠かせませんが、溶接や曲げ加工によりいろいろな形にできる汎用性の高さが魅力です。
- 安価で加工と入手が容易なことから、鉄は人類にとって最も利用価値のある金属であると言っても過言ではありません。純粋な鉄は白い金属光沢を放ちますが、錆を生じやすい性質があるため、見かけ上、黒ずんだり褐色になったりします。そのためわが国では「くろがね(黒鉄)」と呼ばれていました。
- 古来より、鉄は人類史に多大な影響を与えてきました。優れた製鉄技術によって古代オリエントに強大な帝国を築き上げたヒッタイト人や、大量の銃器を駆使して天下統一を成し遂げた織田信長、または社会構造を変革したイギリスの産業革命など、鉄が歴史を動かしてきた事例には枚挙にいとまがありません。
- 鋼は鉄を主成分とした合金で、鉄の持つ強度や耐熱性などを人工的に高めたものです。炭素の含有が0.3%〜2%以下のものの総称であり、ステンレスなども鋼の範疇に入ります。語源は刃物用として作られた金属を意味する「刀金」であり、このことからも鋼とは鍛えられた鉄だということが再認識させられます。
- 「鉄」という漢字は「金」を「失う」と表記するため、縁起が悪いと敬遠し、「失」を「矢」に替えたロゴを使用している会社も多いようです。通勤時に鉄道会社のロゴなどを、注意してご覧になられてみてはいかがでしょうか? また、製鉄会社を中心に繁字体の「鐵」を使用しているケースもあります。